元々パソコンをたいしたことに使っていないので、ディスクもオリジナルのままで長らく生き延びてきたわけですが、さすがに長生きしているとパンクする日がやってきたりします。PICT画像をいろいろ溜め込んだりしていたので、CompactProで(なぜかStuffItは使ってない)圧縮して必要なときに復元したりとかいろいろやってきたんですが、絶対量が増えてくるともうだめですね。とうとう復元用のスペースすら怪しくなってきてしまいました。
そこで、たまたま98に繋いではいたものの、あんまし使ってない500MBのディスクを空けて、Macintosh向けに転用しようと画策しました。今考えると無茶ですねー。なにせ繋ごうとしていたのは、SCSIとはいえ今は亡きICM製のND-540とかいう「98用として販売されていた」外付ディスクだったんですから。ま、ラッキーだったのは、その時期がOS8の出た時期と近接していたことでしょうか。何はともあれ、さっそくショップへ行って“D-SUB 25ピン⇔ハーフピッチアンフェノール50ピン”のMac用SCSIケーブルを購入しました。いくらだったっけ? たしか、2,000円強だったと思うけど…。
では、早速接続…の前にまず、98側で領域開放をしておく必要があります。さすがにDISKINIT(98X1用MS-DOSのFORMATコマンドでは“初期化”/AT互換機の場合は…なんだろう? ドライブ(領域)の削除?)までする必要はないんでしょうが、AT互換機とのディスクのやり取りをした経験から、OSに関係するファクタは極力排除しておいた方がいいでしょう。さて、接続したら初期化…なんですが、「どーせ、ディスクがまっさらなんだし、『せっかくだから』OSも新しくしちゃおっかな」と、(『こういう事もあろうかと』用意しておいた) Mac OS8のCDをいきなり起動。“ドライブ設定”(この時はバージョン1.3)を立ち上げると見事にディスクを認識、あっさりと初期化し、OSのインストールも済んでしまいました。
後からわかったのですが、実はこのディスク、OS 7.5.5(7.5.3)の“Apple HD SC Setup”(バージョン7.3.5)では認識してくれなかったんです。あやうくドライバソフトを別に購入しなくてはいけないところでした。OS8(ドライブ設定1.3)のディスクに対する寛容さが私を救ってくれたというところですね。こうして、ディスクの追加は割とサクサク成功し、広大な(といってもたかが500MBですが)ディスクを手に入れることができたのです。
こうしてしばらくは快適な生活を送っていたのですが、慣れてくるとどうにも内蔵ディスクが狭いのが気になってくるようになりました。人間って贅沢ですねー。まぁ、実のところ「OS 8.0(今は8.1)とOS 7.5.5とを並行して使うため、内蔵に(OSに依存しない)データやアプリケーションを全部入れてしまいたい→そのためには内蔵をもっと大きくしなければ」というのが本音で、更に言ってしまうと「ただ単に内蔵を増やしたかっただけ」なのかもしれません。
内蔵ディスクを入れ替えるにあたってまずやることといえば、当然新しいディスクを手に入れること…ではなくて、今あるディスクを取り出してみることです。というのも、もしかするとちょー特殊なディスクが入っていて、取り替えるのにかなりな出費がかかるかもしれませんし、そもそもディスクが括り付けになってる可能性だって否定できません。なにしろ一体型というのは中で何が行われているかわからないのですから。
写真1: ハードディスクの位置
さて、いよいよディスクを取り出すべく、電源を切って電源コードを抜き、待つこと数分(CRTをいじるわけじゃないんで、そこまでしなくてもいいかも)。背面のパネルを開き、内部を露出させます。この辺は、以前メモリの増設時に経験済みなので問題なし。IIciの頃からの伝統なのか、ドライバ無しで分解ができるのもうれしいですね。問題のハードディスクは、フロッピディスクドライブの真裏あたりに位置しており、ごく普通の1インチハイトの3.5インチディスクドライブのように見えます。
写真2: ハードディスクの取り出し
例によって特にネジ止めの気配もないため、真ん中の鉤になっている部分を押し下げ、上下をつまんで引っ張り出そうとしてみたのですが、このレール、プラスチック特有の粘りがあって、なかなか硬くて引き出せません。おまけに表面がつるつるなので指が滑ることもそれに輪をかけました。悪戦苦闘しているうちに机の角に肘をぶつけるというお約束なギャグを一人でかましてみたり、挙げ句の果てに危うく手を切るところでした。で、少し落ち着いて考えてみることに。よくよく考えてみると、「人力で」、「真っ直ぐに」引っ張り出そうとしてるからうまく行かないんですね。かといって、下手に道具を使って引っ張り出そうとしても、レールがプラスチック製なので傷つく可能性が非常に高いし、まかり間違ってディスクが宙を舞うようなことは避けたいな、と考えていると、ふと、ディスクドライブのダイキャストベースに型抜き用とも考えられる内径2mmほどの穴があいているのに気がつきました。しかも一番端、筐体との位置関係も悪くありません。ここでピンときました、「てこの原理で取り出せばいいのでは」と。…って、振り返ってみれば「なんでこんなこと最初から思いつかん?」というほど当たり前のことなんですが。
写真3: ディスクに付いていたパーツ
中身はQuantumのLPS 340Sが入っていました。ちなみに、Appleのシール付き。ただ、ディスクのコントローラを見る限りでは、特に特殊なチップも使っていませんし、なんとなく「こりゃ巷で言われている『Apple純正ディスクでないとフォーマッタがディスクを認識しない』ってのは間違いなんじゃないのかなぁ」と思えてきました。実際、外にくっつけたICMのディスクも“ドライブ設定”で初期化できていたわけですし。「甘い期待」をこの時は抱いていました。
驚いたのは、ディスクのコネクタ(電源とSCSIバス)部に、なにやら変なパーツがくっついていることでした。どうも、このパーツが本体に固定されているスロットにうまくはまり込んで、きちんと固定されるようになっているようです。おそらく、内部が非常に狭いのと、CRTが一体になっているために、手で電源ケーブルとSCSIケーブルを取り付ける危険性を回避するのが目的のようなんですが、本当のところは定かではありません。
どうも形を見る限りではPC98(NXデハナイ)とかで規定されているDevice Bayのコネクタにとても酷似しています。ただ、Device Bayのコネクタはホットプラグに対応しているせいか、電源ラインと思われる部分の金属端子がPCカードのように奥に配置されているのですが、Macintoshのディスク接続パーツにはそのようなことがなく、どの金属端子も同じ長さになっていました。
実はこいつが曲者でして、電源とSCSIバスのコネクタが一体化しているので、接続できるハードディスクドライブを選びます。私は最初これを見たときに、「そっか、(SCSI)ハードディスクの電源+バスコネクタの配置ってのは規格化されていたのか」とぬか喜びをしてしまったのですが、実際に転がっていたハードディスクと合わせてみてびっくり。“びみょ〜”な差できちんとはまらないんですね、これが。どのくらい“びみょ〜”かというと、件の転がっていたハードディスク(Seagate XXXです)のコネクタ部はSCSIコネクタと電源コネクタの間隔が1mmほどパーツより広くて「無理すればはまらないこともないかなぁ。でも、無理してはめるとコネクタが歪んできっとベイに刺さらなそうだ」という感じです。なんともなりませんな。
達観していても仕方がないので、なんとかして付くディスクを探さなくてはなりません。ここで重要なのが今(つってもLC575製造当時の今)Appleが採用しているディスクメーカを探ること。というのも、さすがにディスクメーカ内で大きくコネクタ類の規格が変わることは普通考えられないためですね。もちろん、部品調達先が変わったりすれば変化もあるんでしょうが、短期間でそれは起こらないだろうと。ですから、当時付いてたディスクメーカのディスクを持ってくればおおむね大丈夫だろうということで。で、そのディスクメーカですが、元々付いていたQuantumは大丈夫そうです。それに加えていろいろ調べた結果、IBMと富士通が該当することが判明。しかし、手持ちの大容量ディスクには残念ながらどれも該当せず。つーか、コネクタのサイズが合わんかったSeagateばかりなのでした。ケースから取り出してみる価値もなし。
写真4: ハードディスクとコネクタ
仕方がないのでトレードできないか同僚をあたってみることに。すると、「1GでよければIBMのがあるよ」とのこと、持つべきものは物持ちのいい知り合いですな。ところがこちらの手持ちが例のSeagate XXXしかありません。これが容量2Gなので「さて、どうしたものか」と一瞬考えたのですが、次の瞬間“IBM→静か⇔Seagate→煩い”という図式が頭に浮かび「まぁいいや」と即決でトレード成立。一応翌日に持ってきてもらったディスクとこちらの持ってきたコネクタとを現物合わせして、めでたく所望のディスクを手に入れました。
写真5: ハードディスクにはまったコネクタ
さて、手に入れたディスクはIBMのDPES-31080で容量1Gバイト、静粛性には定評のあるディスクです。必ず動作している内蔵用としてはうってつけかな。ここまでくればしめたもの、あとはさっさとコネクタをはめてレールをネジ止め、さくっとハードディスクベイに差し込んでハイおしまい。抜くときと違って差し込むときは楽なもんです。最後、ハードディスク側のオスコネクタが本体側のメスコネクタに刺さる瞬間は「ずれてないかな」と少しだけ緊張。一応、元付いていたディスクと並べて確認はしているものの、やはり実際に刺さるまでは不安です。
画像1: <未サポート>と診断されてしまったハードディスク
交換した内蔵ハードディスクも無事刺さったと思うので、いざ電源ON! 煙は立たない…焦げ臭くない…Happy Mac出た…無事起動。よしよし、幸先いいぞ。これでもうすんだも同然だな〜と、ドライブ設定を動かしたら…あら? ボリューム名の所に<未サポート>の文字が。がーん、初期化できない。オイオイ勘弁してよ〜、でもID: 0ってことは認識はしてるんだよなぁ…つーことはもしかしていわゆる一つの非純正品問題? ハマった、裏切られました。まぁ、純正品使ってないこっちが悪いんだけどさぁ。
画像2: IBMのDPES-31080と認識
でも、ここであきらめるほどナイーヴでもなければ技術がないわけでもないので、いろいろとやれることはあるのだ。なにより私には勘があるしね(笑)。というわけで、まずは本当に認識されているかどうかのチェックなど。もともとドライブ設定でも初期化できないというだけできちんとSCSI IDなどは出ているのでこれで十分なんですが、ディスクコントローラレベルでまともにハードディスクと見られているのか、ベンダや型番などは分かっているのか等を調べるためには、Appleシステム・プロフィールが結構使えて便利です。AppleメニューからAppleシステム・プロフィールを起動して、情報→装置とメニュー項目を選んで出てきたのがこの画面。これによれば、ちゃんとハードディスクであり、メーカはIBM、型番はDPES-31080と認識はされていることが分かりました。
普通の人ならここで「仕方ない、HDTでも買ってくるか」となるんでしょうが、それでは面白くないのでここで更に悪あがきをしてみることにしました。というか、貧乏性なんですな、既存のものの改造で何とかならないかと考えてしまうのは。この(まっさらの状態から)新規に増設というのはこういう時にはうってつけの状況といえます。なにせ、いろいろ試した結果ディスクの中身が消えるとかそういう事がありませんし、それを避けるためのバックアップの時間も全く必要ないのですから。もっとも、ディスクがホントに使えなくなってしまうという事態がないわけではないんですが、そこは「何とかなりそうだ」と勘が私にささやくのですね。困ったものです(苦笑)。
長くなってしまいました。こんなん読む人いるのかな?(泣笑) 続きはドライブ認識編として改めて書き起こすことにします。
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